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その旅は古いパリのアパルトマンの年老いた |
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今日本へ帰ったら |
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セピア色に色あせた |
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パリでの一年の語学留学を終え、そろそろ日本への帰国準備を始めていたある日のこと。私は住み慣れた古いアパルトマンの部屋で、天井窓を開ける太い紐をグイグイ引きながら、もうすぐ去るパリの街の匂いを吸い込んでいた。「メグミ、もうすぐお別れね。私の大切な宝物を記念にあげるわ」私の部屋を訪れて、一冊の本を手渡してくれたのはこのアパルトマンのコンシェルジュ、つまり管理人である。小さな管理人室にいつもちょこんと座っていて郵便物を手渡してくれる彼女は、ちょっと気位の高そうな老婦人だが、いまでは私と大の仲良し。彼女の心尽くしの贈り物が私のライフスケジュールを大きく変えることになるなんて・・・。 |
コンシェルジュがくれたその一冊は古い古いお菓子作りのレシピ集だった。オリーブ色のモロッコ革に金彩をほどこした重厚な装丁はすっかり色あせてはいたが、手にずっしりと重い。セピアのしみがうっすらと浮き出た一枚一枚のページは、あのどこかノーブルでエレガンスな雰囲気を今もとどめているコンシェルジュの華やかだった時代を思わせる優雅な書体の文字で埋まっていた。 |

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プロヴァンスの田舎道を歩くと |
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古びた一冊の本のなかから魅惑の |